推定40年代頃、AU MOLINEL(オーモリネル)製『インディゴリネン マキニョンコート』になります。
スペシャルアイテムの入荷です。
フレンチワークウェアブランドの中でも、"Le Mont St Michel"・"Adolphe Lafont" に並ぶ人気度を誇る、老舗ワークウェアブランド "AU MOLINEL"
AU MOLINEL(オーモリネル)とは、1845年にフランス北部の繊維都市リール周辺で歩みを始めた、老舗ワークウェアメーカー。
現在は公式には『Molinel(モリネル)』名義で、建設・クラフト・工業分野を中心に、現場の厳しい環境で "確実に使える" プロフェッショナルウェアを設計・製造し続けています。
1845年以来、フランスの労働服市場で重要な役割を果たしており、その製品は高品質で実用的な物として広く認知されています。
そんな約180年級の老舗からご紹介したいのが、フレンチワークの中でも一際 "物語" を背負った存在と言える、インディゴリネンで仕立てられた "マキニョンコート"。
フレンチヴィンテージスタイルに欠かせない存在である "Maquignon Coat(マキニョンコート)"
その名の由来であるMaquignon(マキニョン)とは、フランスにおける 馬の売買を仲介する人(馬商・馬の仲介人) を指す言葉。
家畜市や競り、地方の見本市の様な場で、馬を見極め、交渉し、時に強引にでも話をまとめる。
そんな "現場の商い" に根差した職能として知られています。
そして彼らが纏っていた仕事着として語られるのが、このマキニョンコート。
牧畜者や羊飼いなど、動物と共に働く人々にも広く着用されたとされ、衣服というよりは『作業のための防具』に近い立ち位置でした。
泥・藁・埃・汗、そして動物の体温や湿気を真正面から受け止める必要があったからこそ、見た目以上に "現場仕様" の合理性が詰まっています。
『機能美』という言葉を、これほどまでに "生業" と結び付けて語れるフレンチワークもそう多くありません。
マキニョンコートは、軍モノや工場労働のワークとはまた違う、家畜と市場を行き来する "生き物の現場" の匂いを宿した一着。
無地のコートでありながら、背景込みでスタイリングに奥行きを作れる。
そんな "語れる仕事着" の代表格とも言えるアイテムです。
当個体は、タグに入る "PUR FIL / BLEU VILLETTE / GARANTI GRAND TEINT" の文字通り、当時らしい色の深さと、褪せていく美しさを約束してくれる様な、空気感のある一着となっています。
襟は、小ぶりなラペル襟仕様。
古いワークコート特有の大味な襟ではなく、角度を抑えた控えめなラペルが付く事で、無骨な服なのにどこか端正。
ボタンを上まで留めても首元が強くなり過ぎず、シャツでもニットでも "いつもの服" にすっと馴染むバランスです。
左胸部には 縦長のシザーポケット、そして同位置にパッチポケットを配置。
片胸だけという潔さが、マキニョンコートらしい道具感を一気に引き立てます。
ペンや煙草の様な細物の居場所が最初から決まっている安心感と、胸ポケットがあるだけで着姿が締まる。
ワークウェアの機能が、そのままスタイリングの輪郭を作ってくれるディテールです。
そしてこの個体で最も効いているのが、コート両中部に備わる かなり大型のパッチポケット。
手を突っ込んだ時の収まりが良い大判サイズで、見た目にも "作業着の迫力" が宿る部分。
更にそのすぐ横には、インナーに着た衣服へ上からアクセス出来る貫通式ポケットも完備しています。
ワークコートらしい合理性ですが、ファッション目線で見ると、レイヤードしたジャケットやベストのポケットを活かせる=着こなしにギミックが生まれるのが面白い。
前合わせは、ボタン留めによる開閉式。
ジップの様に強い主張が出ない分、インディゴのムラ感やリネンの陰影が前面に出て、雰囲気で勝負出来る構造となっています。
また、内側にはオーモリネル社製特有となる、黒地に赤色の "刺繍タグ" が付属。
古い年代を象徴する刺繍タグが付いた個体は、お探しの方も多いのではないでしょうか。
ディテール自体は非常にシンプル。
ですが、だからこそ当個体の核になるのはやはり生地。
リネン特有の "トロみ" と、インディゴ染ならではの色落ちがとにかく美しい。
スタイリングにさらっと取り入れるだけで、古着の迫力というより素材そのものの色気が立ち上がってきます。
当個体は、"リネン100%" 生地を採用。
細番手のリネンならではの、動く度に揺れ動く "トロみ" と、ふわりと落ちるドレープ感が魅力。
ワークウェア由来のタフさを備えながら、肌当たりは意外な程しなやかで、羽織った瞬間に空気を纏う様な軽さがあります。
着込む程に繊維がほぐれ、皺の入り方さえも表情として馴染んでいく。
そんなリネン特有の経年変化も期待出来ます。
カラーは、褪色を含んだインディゴフェードカラー。
所謂 "インクブルー" とは別物の、深さのある色の奥行き。
黒に近いネイビーの溜まりから、光を受けた瞬間にふっと青みが浮かび上がるインディゴならではの色気が宿ります。
更にリネンの節や織りの陰影が重なる事で、単調な色落ちでは終わらず、見る角度によって濃淡のグラデーションが立ち上がるのもこの素材ならでは。
ディテール自体があくまでシンプルなマキニョンコートだからこそ、この "生地の揺れ" と "インディゴの褪せ" が主役に。
サイズ表記は "50"
日本サイズで "M ~ L" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても日本人体型に合うゴールデンサイズかと思いますので、幅広い体型の方にご着用頂けるかと思います。
褪色・汚れ・擦れ・小穴・ボタンの付け替え等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージは見受けられませんので、まだまだご着用頂けるかと思います。
フレンチワークウェアを語る上で欠かせない立ち位置に存在するワークブランド "AU MOLINEL"
見本の様な素晴らしい経年変化を遂げた、唯一無二の極上個体を、是非ともご堪能下さい。
ワードローブとしては勿論、コレクションアイテムとしても申し分ない1着。
当ショップでも滅多に入荷しない希少なアイテムとなりますので、お探しの方がいましたらこの機会をお見逃しなく。