推定40年代頃、フランス製『ソルト&ペッパーコットンツイル アトリエコート』になります。
フレンチワークの定番アイテムでもある "Atelier Coat(アトリエコート)"
当時のフランスにおいては、絵画・彫刻・建築など、芸術文化が隆盛を極めていた背景のもと、アトリエ(工房)で創作活動を行う芸術家を中心に愛用されていたと言われています。
また、当時のアトリエコートは芸術家のみならず、学校の教師や事務員、更には子どもたちに至るまで、幅広い層に着用されていたという記録も残されています。
特に当時の画家たちは、スーツなどの正装を纏ったまま制作に励む事が一般的であり、そのため衣服を汚さない様にと羽織られていたのが、このアトリエコートでした。
その名の通り、『アトリエ(工房)で着用されたコート』という実用性に由来した名称で呼ばれ、フレンチワークウェアの中でも特に文化的背景を色濃く映した一着とされています。
創作の現場で日々使われながらも、その造形美と機能美を併せ持つ、正に "使う為に美しく在る" 事が体現された贅沢なワークウェアです。
まず目を惹くのは、控えめながら凛とした印象を醸すラペルドカラー。
過度な装飾を排し、どこか職人気質を感じさせる直線的なラインが、実直な美しさを表現しています。
胸部と腰部に配されたパッチポケットは、道具を収める為の実用的な設計。
四角く縫い留められたステッチワークは、視覚的なリズムと共に生地の表情を際立たせています。
一見すると直線的なシルエットながら、着用時にほんの僅かに身体に沿う様な柔らかさを持ち合わせており、ヴィンテージ特有の "こなれた余白" を感じさせます。
そして当個体最大の魅力が、全体に散りばめられた "クレイジーペイント"
ホワイトやブラック、ブラウン系の飛沫・擦れ・筆跡が踊るように重なり合い、加工ではなく実際の現場が付けたリアルな汚れである事がひと目で分かります。
更に胸ポケット脇や袖周り等には、糸を密に刺して補強した愛らしいハンドのダーニングリペアが点在。
大切に手当てをしながら使い続けられてきた履歴が、ワークウェアの温度をそのまま纏わせています。
均一な霜降りグレーにペンキの白が映え、ダーニングの黒がリズムを刻む。
いわば "アトリエの熱量" をそのままコーディネートへ連れてくる1着と言えるでしょう。
首元内側には、黒地に金色の "LE CONQUÉRANT" 社製の "刺繍タグ" が付属。
古い年代を象徴する刺繍タグが付いた個体は、お探しの方も多いのではないでしょうか。
当個体は、"コットン100%" のごま塩(Salt & Pepper)生地を採用。
糸色は生成りと墨色を交互に配し、遠目には霜降り調に映る独特の杢感を表現。
これにより、生地表面は陰影に富み、光の角度や環境によって砂色から鉛色へと表情を変えます。
カラーは、アトリエコートと言えばな "グレー" カラー。
光の加減や角度によって、複雑に揺れ動くその杢調のグラデーションは、単色にはない奥深さと静かな個性を演出してくれます。
あくまでも無骨な作業着でありながら、素材選びにおいてここまでの美的配慮がなされた個体は稀少で、日常の中でさりげなく "素材で魅せる" 装いを実現する1着となるでしょう。
サイズ表記は確認出来ませんが、"M ~ L" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても日本人体型に合うゴールデンサイズかと思いますので、幅広い体型の方にご着用頂けるかと思います。
ジャストサイズ・オーバーサイズのどちらで着用しても様になるかと。
汚れ・擦れ・ほつれ・小穴・破れ・リペア跡等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージは見受けられませんので、まだまだご着用可能かと思います。
素材の希少性、背景の深さ、そしてフランスの職人気質が宿る普遍的な美しさ。
全てを兼ね備えたこのアトリエコートは、単なる古着ではなく、"文化を纏う一着" と言っても過言ではないでしょう。
また、当個体の様な机上の "フェイク" ではなく、現場の時間が育てた個体は唯一無二。
フレンチアトリエの空気感をそのまま纏える希少な1着です。
心に刺さった方は、どうぞお早めに。