推定40年代頃、アメリカ海兵隊『P-41 ヘリンボーンツイル ユーティリティジャケット』になります。
U.S.M.C(United States Marine Corps / アメリカ海兵隊)とは、アメリカ合衆国の正規軍を構成する6軍種の内の一つであり、海軍省(Department of the Navy)の下に置かれる外征・即応型の統合戦力。
海兵隊は航空・地上・兵站をひとつに束ねた "統合遠征部隊(MAGTF)" を中核とし、短時間で海から上陸して即座に戦力化する役割を担います。
起源は1775年11月、第二大陸会議が『二個大隊の海兵を編成する』と決議して創設した "Continental Marines(大陸海兵隊)" に遡ります。
独立戦争後に一度解隊されますが、1798年7月の法制定により合衆国憲法下で正式に "United States Marine Corps" として再設置されました。
第二次世界大戦では太平洋島嶼戦(ガダルカナル・タラワ・硫黄島・沖縄等)で海・空・陸の結合運用を実戦で確立。
冷戦期には、朝鮮戦争の仁川上陸作戦(1950)や長津湖戦(1950)で機動揚陸戦の有効性を再証明し、後のベトナム戦争でも沿岸拠点の確保から内陸の基地防衛まで広範な任務に従事しました。
現在のU.S.M.Cは、海軍省の下で『三個師団・三個航空翼』を基幹とする編制を維持しつつ、MAGTF(MEF/MEU 等)での即応展開を通じて、抑止・危機対応・安定化任務を担っています。
そんなアメリカ海兵隊で、第二次世界大戦中の1941年に採用された、不朽の銘品である "P-41 HBT Utility Jacket" のご紹介です。
"P-41 HBT Utility Jacket" とは、1941 年頃にコットンヘリンボーンツイル製の『作業用ユニフォーム』として導入され、その実用性の高さから1942年以降はガダルカナルやタラワ、硫黄島といった太平洋戦線における戦闘服としても広く用いられた、U.S.M.C を象徴するユニフォームの一つ。
無駄なディテールを削ぎ落とした三つポケットのフロントと、耐久性・通気性を兼ね備えたHBT生地という構成は、過酷な環境下での機能性を最優先に設計されたものであり、現在の目線で見ると、ミリタリーとワークジャケットの中間の様な、非常に完成度の高いデザインバランスを感じさせます。
当個体は、そんなP-41のディテールがしっかりと残った1着。
左胸には "USMC" のロゴと、イーグル・グローブ&アンカーのエンブレムが重ねてステンシルされたパッチポケットが配置され、フロント下部には大振りなパッチポケットを左右に配置。
腰回りにしっかりとボリュームが出る為、現代的にはカバーオール感覚でラフに羽織るだけで、コーディネートに程良い無骨さと実用性をプラスしてくれます。
また、フロント及び袖口には、全て打ち込み式の "U.S. MARINE CORPS" 刻印のメタル製ドーナツボタンが採用されており、ミリタリーらしい無機質さと、経年で燻んだ金属の質感が相まって、ディテールとしても強い存在感を放ちます。
また、市場ではしばしば同じUSMC HBTの "P-47" と混同される事の多いモデルですが、ポケットの形状や閂止め、細かなステッチワーク等、よく見るとP-47とは異なるポイントが随所に見られます。
その違いは玄人好みなレベルで、パッと見では分からない程。
だからこそ、ヴィンテージ好きの間では『分かる人には分かる』プロトタイプ的な存在として愛され続けている1着とも言えます。
そして当個体最大の魅力は、全体に飛び散った "クレイジーペイント"。
ホワイトやベージュ系のペンキ飛びが前身頃を中心に散在し、裾やポケット周りにはより濃く重なり合ったペイント跡が確認出来ます。
加工ではなく実際の作業現場で付着したリアルな汚れの為、一点毎に表情が異なり、均一ではないラフなペイントが、ミリタリーウェアのストイックな印象を良い意味で肩の力の抜けたストリート感へと引き寄せています。
当個体は "コットン 100%" のヘリンボーンツイル生地を採用。
比較的薄手ながらも適度なハリとコシを備えたテキスタイルで、ミリタリーらしい乾いたタッチと軽やかな着心地を両立しています。
春秋にはシャツやカットソーの上からサラッと羽織るメインジャケットとして、冬場にはコートやヘビーアウターのインナージャケットとしてもかさばりにくく使える、汎用性の高い生地感です。
カラーは、USMCらしくミリタリーアイテムらしい "カーキオリーブ" カラー。
ベージュカラーとオリーブカラーの中間の様な、土埃を含んだニュアンスのあるトーンが特徴的です。
細かく走るヘリンボーンの畝が光を柔らかく拾い、角度によって僅かに表情を変える事で、単色ながらも奥行きのある陰影を生み出します。
ミリタリー由来の無骨なディテールに、枯れたカーキオリーブのニュアンスカラーを掛け合わせる事で、力強さの中にどこか色気を感じさせるバランスに。
主張し過ぎず、日常のワードローブにも自然と馴染む一方で、経年変化によって更に深みを増していく "品のあるワークカラー" をお楽しみ頂けるかと。
サイズ表記は確認出来ませんが、日本サイズで "M ~ L" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても日本人体型に合うゴールデンサイズかと思いますので、幅広い体型の方にご着用頂けるかと思います。
ミリタリーアイテムらしく、大きめのサイズ感でご着用頂いても格好良い1着かと。
汚れ・擦れ・ほつれ・小穴・破れ・ボタン欠損等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージは見受けられませんので、まだまだご着用頂けるかと思います。
アメリカンヴィンテージを語る上で欠かせないミリタリーアイテムの数々。
その中でも当個体である "P-41 HBT Utility Jacket" は不朽の銘品であり、今後も価格が高騰するのは間違いないでしょう。
ミリタリーアーカイブとしてのバックボーンをしっかりと持ちながら、ファッションとしても今の空気感にフィットする、唯一無二の雰囲気を持つ逸品です。
心に刺さった方は、どうぞお早めに。