推定50年代頃、フランス製『メティスブラックシャンブレー アトリエコート』になります。
フレンチワークの定番アイテムでもある "Atelier Coat(アトリエコート)"
当時のフランスにおいては、絵画・彫刻・建築など、芸術文化が隆盛を極めていた背景のもと、アトリエ(工房)で創作活動を行う芸術家を中心に愛用されていたと言われています。
また、当時のアトリエコートは芸術家のみならず、学校の教師や事務員、更には子どもたちに至るまで、幅広い層に着用されていたという記録も残されています。
特に当時の画家たちは、スーツなどの正装を纏ったまま制作に励む事が一般的であり、そのため衣服を汚さない様にと羽織られていたのが、このアトリエコートでした。
その名の通り、『アトリエ(工房)で着用されたコート』という実用性に由来した名称で呼ばれ、フレンチワークウェアの中でも特に文化的背景を色濃く映した一着とされています。
創作の現場で日々使われながらも、その造形美と機能美を併せ持つ、正に "使う為に美しく在る" 事が体現された贅沢なワークウェアです。
まず目を惹くのは、控えめながら凛とした印象を醸すラペルドカラー。
過度な装飾を排し、どこか職人気質を感じさせる直線的なラインが、実直な美しさを表現しています。
胸部と腰部に配されたパッチポケットは、道具を収める為の実用的な設計。
四角く縫い留められたステッチワークは、視覚的なリズムと共に生地の表情を際立たせています。
一見すると直線的なシルエットながら、着用時にほんの僅かに身体に沿う様な柔らかさを持ち合わせており、ヴィンテージ特有の "こなれた余白" を感じさせます。
袖口には、ボタンで調節可能なタブを配置。
袖を捲る事を前提とした設計で、気温や作業内容に応じた柔軟なアプローチが可能となる、正に合理性の塊。
こうした『意味のあるディテール』が、着る者に安心感と自由を与えてくれるのです。
背面には、ベルトループではなく、2点留めのマルタンガル仕様を採用。
この控えめなバックディテールが、フロントとの均衡を保ちつつ、さりげない立体感と奥行きをもたらしています。
サイズ調整という実用性を備えながら、あくまで "後ろ姿の品格" を損なわない構成です。
当個体に使用されているのは、"Metis(コットン × リネン)" のシャンブレー生地。
フレンチヴィンテージにおけるアトリエコートの多くが、綾織りのコットン素材で通称 "Salt & Pepper(ごま塩)" 生地で仕立てられている中、この個体は極めて珍しい "Metis" 素材を用いている点に最大の価値が宿ります。
コットンの柔らかさと、リネン特有の張りと粗野な風合いが絶妙にブレンドされており、着用を重ねるほどに身体へと馴染み、しなやかな落ち感と共に深みあるエイジングを楽しむ事が出来る素材感。
また、シャンブレー織りならではの "杢" のある表情が、実に奥行きのあるトーンを生み出しています。
カラーは、アトリエコートと言えばなチャコールグレーカラー。
光の加減や角度によって、複雑に揺れ動くその杢調のグラデーションは、単色にはない奥深さと静かな個性を演出してくれます。
あくまでも無骨な作業着でありながら、素材選びにおいてここまでの美的配慮がなされた個体は稀少で、日常の中でさりげなく "素材で魅せる" 装いを実現する1着となるでしょう。
サイズ表記は確認出来ませんが、"M ~ L" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても日本人体型に合うゴールデンサイズかと思いますので、幅広い体型の方にご着用頂けるかと思います。
ジャストサイズ・オーバーサイズのどちらで着用しても様になるかと。
汚れ・擦れ等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージは見受けられませんので、まだまだご着用可能かと思います。
希少な "Metis" を使用した個体、加えて背面のマルタンガル仕様といった洗練された意匠を併せ持つ "Atelier Coat"
素材の希少性、背景の深さ、そしてフランスの職人気質が宿る普遍的な美しさ。
全てを兼ね備えたこのアトリエコートは、単なる古着ではなく、"文化を纏う一着" と言っても過言ではないでしょう。
当ショップでも入荷の少ないアイテムとなりますので、お探しの方がいましたら是非この機会をお見逃しなく。