推定60年代頃、INVERTERE(インバーティア)製『ウールツイード ハンティングコート』になります。
スペシャルアイテムの入荷です。
INVERTERE(インバーティア)とは、1904年にイングランド南西部デヴォン州ニュートン・アボットにて、"Harold Parkin(ハロルド・パーキン)" 氏と兄弟によって創業された、英国老舗のコート専業ブランドです。
創業当初から革新的だったのは、富裕な自動車オーナーの為に開発したリバーシブル・コート。
ブランド名の "INVERTERE" はラテン語で『向きを変える、ひっくり返す』の意で、正に彼らの発明的プロダクトを象徴する言葉でした。
工場の建屋は今なおニュートン・アボットに残り、リバーシブル製法に関する特許を保有した歴史が公式に語られています。
1948年、企業はヨークシャー出身の "Walter Sawtell(ウォルター・ソーテル)" 氏へと売却。
その後、1966年には "Simpson of Piccadilly Ltd." に事業譲渡され、1968年には『輸出功績に対する女王賞(Queen’s Award to Industry for Export Achievement)』を受賞。
英国らしい上質な仕立てと輸出体制を両立させ、国際市場での評価を盤石にしました。
1986年に自社工場は閉鎖となりますが、当時のテクニカル・ディレクターであった "Harold Shaw(ハロルド・ショウ)" 氏がWestcountry Clothing Ltd.を設立し、DAKS–Simpsonの契約のもとでインバーティアのコート生産を継続。
1995年には Westcountry Clothing が "Moorbrook Textiles" に売却され、その直後にMoorbrook が DAKS–Simpson から "INVERTERE" の商標を取得します。
更に2001年、グラハム&ピータ・ショウ夫妻がWestcountry Clothingを経営陣買収で取得、2003年には "Invertère Coat Company Ltd." 自体をMoorbrook から買い戻し、ショウ家のもとでブランドを再統合。
現在もニュートン・アボットに拠点を置き、ショウ家がオーナーとして伝統を守り続けています。
このブランドの最大の魅力は、仕立て屋の精密さ(型紙・縫製・仕上げ)と、工業的スケールを両立する設計哲学にあります。
言い換えれば、『仕立ての哲学を持った工業製品』。
クラシックなチェスターやステンカラー・ダッフル・カントリーコートに至るまで、伝統的カッティング&ハンドワークに根ざした堅牢な作りを貫きつつ、日常の使い勝手へと落とし込む "英国コートの正統" を体現し続けています。
INVERTEREとは、英国の空気と共に育まれた "コートの為のコート"。
ニュートン・アボットで生まれたリバーシブルの発想、女王賞に象徴される輸出の実績、そしてショウ家が継ぐ現代のクラフツマンシップ。
クラシックでありながら、時代を超えて "着る人の生活を整える" 一着。
それがINVERTEREのコートです。
もしオールド・インバーティアの個体をお持ちでしたら、当時の生地感や仕立ての妙味を愉しめる "アーカイブ価値" も特筆に値します。
一方で現行は、伝統的設計を踏襲しつつも素材と仕上げの精度が更に洗練。
本物志向の方にこそお勧めしたい、英国コートの "王道" です。
そんなインバーティアより、上質なウール素材で仕立てられた、ハンティングコートのご紹介です。
英国カントリースタイルの美徳を凝縮した、機能と品格が共存する1着。
まず目を惹くのが、襟部のモールスキンでの切替えし。
やや大ぶりで丸みを帯びたカーブドポイントは顔周りを柔らかく見せつつ、起毛面が首元をしっとり包む実用性を担保。
内側には、堅牢なチェーン式ハンガーループを装備しており、重量級コートの "吊るす所作" まで気持ち良く整います。(当個体に関しては、片方のハンガーループがほつれてしまっていいます。)
両中部に配置されたハンドウォーマーポケットは、手を自然な角度で受け止める強めのスラント。
立ち姿のシルエットを崩さず、冷え込む日には確かな防寒スペースとして機能します。
両裾部のフラップポケットは、外観フラット / 内側立体の "プリーツ × マチ" 構造を採用。
箱プリーツが容量を確保しつつ、フラップ端の細幅トップステッチが輪郭を際立たせます。グローブやツールを入れても膨らみが出にくい、ハンティング由来の合理。
フラップと身頃で柄合わせを綺麗に揃える縫製も見所です。
更に内側には、ハンティングコート特有の大型ポケットを備え、金色のアニマルモチーフボタン + ループ留めがクラシックなアクセントに。
地図や手袋を無造作に放り込める懐の深さは、一度使うと手放せません。
背面にはセンターベントが設けられており、歩幅を広げても裾がもたつかない開き具合に調整され、ベンチ先端には補強ステッチを入れて裂けを予防。
移動時の所作まで上品に見せる "働くベント" と言えるでしょう。
肩はラグランスリーブ仕様となっており、襟ぐりから袖口へ緩やかに流れる一本線が、重ね着時の可動域と着姿の滑らかさを両立。
ジャケットの上から羽織っても肩線が主張せず、後ろ姿まで美しいドレープを描きます。
前合わせは、ミニマルな比翼仕立てを採用。
外観に出るのは喉元のトップボタンのみ、内側に整然と並ぶボタン列が風の侵入をブロックします。
ライニングは上下で切替えしが施されており、肩〜上背は滑りの良い光沢生地(レーヨン推測)で袖通しを快適に、腰下は起毛ウール地で体幹を温めるという、着脱性と保温性の分業設計。
首元内側には "MADE IN ENGLAND" の表記が施された1960年代頃のオールドタグが付属しており、誇り高き本国イギリス生産を証明。
また、当個体に関しては、『J.C.CORDINGS & CO.LTD』との別注品という、非常に贅沢な1着となっています。
J.C. CORDING & CO. LTD(コーディング / Cordings)とは、1839年に創業者 "John Charles Cording(ジョン・チャールズ・コーディング)" 氏がロンドンのストランド231番地に開いた防水衣料店を起点とする、英国カントリー&アウトドア・ウェアの老舗ブランド。
当個体は、英国カントリーに根差したウールツイードを採用。
細かなヘリンボーン組織に高密度の打ち込みを施し、手に取ると "ふくよかな弾力" と "確かなコシ" が同居する上質なタッチが伝わります。
空気を含む嵩高な織りは保温性に優れつつ、ウール本来の吸放湿性でムレを逃がす快適設計。
表面は軽く起毛し、指先で撫でると僅かな凹凸が感じられるクラシックな質感です。
着用を重ねる程毛羽が落ち着き、肘や肩に沿って緩やかなロールが生まれ、ツイード特有の“艶の深まり”がじわりと育っていく。
正に時間と共に完成度が増す生地。
襟に配されたモールスキンのしっとりとした肌当たりが首元を優しく包み、ツイードの堅牢さとのコントラストが素材の魅力を一層引き立てます。
カラーは、オリーブブラウンをベースに "レッド×グリーン" のオーバーチェックが静かに走る伝統配色。
遠目には落ち着いた "深い土色" として佇み、近づく程に杢糸の粒立ちとチェックの色気が立ち上がる二層の表情です。
ベージュのモールスキン襟が顔周りに明るさを添え、配色全体に上品な抜け感を与え、ハンティング由来の無骨さに、都会的な品を溶け込ませるこのトーンは、主張し過ぎず埋もれない "静かな迫力" 。
装いの基調色としても差し色の受け皿としても機能し、スタイリングに深度と説得力をもたらしてくれるはずです。
ジーンズやチノパンと合わせて軽快に。
スラックス等の綺麗めアイテムを添えれば、ぐっと上品なムードに振れます。
幅広いアレンジに応える汎用性があり、ワードローブの軸として頼れる一着です。
質の高さと普遍的なデザインを兼ね備え、流行に左右されない存在感。
永い期間、相棒の様にご愛用頂けるかと思います。
サイズ表記は "46"
日本サイズで "L" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても大きなサイズ感となりますので、大きな体型の方でも問題なくご着用頂けるかと思います。
擦れ・ほつれ等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージは見受けられませんので、まだまだご着用頂けるかと思います。
INVERTEREがJ.C.CORDINGS & CO. LTDに向けて仕立てた別注個体は市場でも希少。
伝統技術に裏付けられたツイードと実用的なハンティングディテールを纏った名作と言えるでしょう。
オールドインバーティア製のアイテムは、当ショップでも入荷の少ない1着となりますので、お探しの方は是非ともこの機会をお見逃しなく。