推定70年代頃、Lewis Leathers(ルイスレザーズ)製『ダブルライダースジャケット』になります。
スペシャルアイテムの入荷です。
Lewis Leathers(ルイスレザーズ)とは、1892年にロンドンのグレート・ポートランド・ストリートにて、創業者である "David Lewis Isaacs(デビッド・ルイス・アイザックス)" によって創業された、英国を代表するライダースウェアブランド。
当時ここは自動車・関連用品が集まる "モーターロウ" としても知られ、街に集うアビエイターやモータリストの要求に応える形で、防寒性と実用性を備えたウェアへと領域を広げていきました。
第一次世界大戦後には、過酷な環境下で身体を守る "暖かい装備" が求められ、Lewis(当時はD. Lewisの名でも知られる)は飛行・モータリングの世界へ本格的に接続していきます。
第二次世界大戦期には、RAF(英国空軍)へ供給した事実も語られており、単なるファッションではなく『任務の道具』として信頼された背景が、このブランドの格を決定づけました。
そして、ルイスレザーズを "伝説" へ押し上げたのが 1926年。
D. Lewisがモーターサイクル / トラック向けのレーシングスーツ製作を開始した事は、現行ラインの解説内でも明確に触れられています。
ここで生まれたのは、速さを競う者に必要な『擦れ・冷え・雨・衝撃』への合理的な回答であり、同時に "革で機能を設計する" という思想そのもの。
結果として、ライディングウェアはワークウェアから、スタイルを語る装備へと進化していきます。
更に象徴的なのが AVIAKIT(アヴィアキット) の存在。
初期アーカイブでは1930年前後からAVIAKITの名が確認され、戦中もヘルメットや衣類に用いられ続け、戦後は急成長するモーターサイクルウェアへと "ブランドの顔" として組み込まれていきました。
1950年代半ばには広告上でもより強く打ち出され、1960年には新しいスクリプトロゴが誕生、その後1965 ~ 66年頃には大きなAVIAKITラベルがジャケット群に用いられた、と公式側の解説で語られています。
1950年代半ば以降、ルイスは若者文化とも結びつきます。
所謂 "Ton Up Boys ~ Rockers" へ向けたアプローチ、音楽誌への広告展開、そして "ロード / ストリート / ステージ" へ広がっていった流れは、同社が紹介する書籍解説の中でも明確です。
つまりルイスレザーズは、モータースポーツの現場で鍛えられた機能を核にしながら、カルチャーの現場で "制服" になった稀有なブランド。
語られる歴史の厚みが、そのままレザーの説得力に直結するのです。
そして、ルイスレザーズの真価は『古い』の一言で片付かない点にあります。
ヴィンテージを研究し、当時の仕様や意匠を汲み上げながら "現在の一着" へ落とし込む姿勢は、アーカイブを単なる資料で終わらせません。
時代の空気を纏ったレザーは、着る人の体温と動きで育ち、数年後に "自分だけの表情" へ変わっていく。
ここに、レザーウェアが持つ最大の快楽があります。
そんなルイスレザーズより、古参モデルの系譜に連なる "BRONX(ブロンクス)" のご紹介です。
代表格の "CYCLONE(サイクロン)"・"LIGHTNING(ライトニング)" は市場でも比較的目にする機会がありますが、BRONX(ブロンクス)は『知ってる人ほど反応する』通好みの立ち位置。
50年代の "BRONX" という呼称を起点に、後年 "TWIN TRACK BRONX" へと発展していく流れがあり、当時のバイクカルチャーをロンドンの実用美へ落とし込んだ、いわば "源流側" のモデルとして語られます。
当個体は、そのBRONXを冠した定番のダブルライダース型。
大きく寝るラペルの角度・ショルダーのエポレット・そして裾のベルトがつくる輪郭の強さ。
羽織るだけでスタイルの重心が定まる、ライダースらしい『構図』がしっかりあります。
フロントのジップポケットも縦横で配置にメリハリがあり、単なる装飾ではなく "道具としての合理性" が密度になって現れている印象です。
前合わせは、ダブルジップアップ式。
スライダーには "CLIX" 製を採用しており、金属パーツの無機質な存在感がブラックレザーの艶に刺さる。
閉める / 開けるという所作そのものが絵になるディテールです。
袖口にもジップを備え、グローブ越しの操作性やシルエットの締め具合まで、きちんと "走るための設計" として落とし込まれています。
左胸部には、"Lewis Leathers" と "AVIAKIT" が刻まれた、ブランドパッチが付属。
諸説ありますが、反骨精神の象徴であった当時のパンクロッカーは、ブランドの宣伝になる事を嫌い、左胸のパッチを外していたと言われています。
因みにブランドパッチは、1966年に初めて長方形型のスクエアパッチが導入され、後年の1973年頃まで採用され続けた後、多くの個体で採用されている楕円型オーバルパッチに移行されました。
首元内側には、スクエア型の "AVIAKIT" ラベルに "REAL HIDE" のタグが付属。
このタグ周りの意匠・パッチ形状の組み合わせは、年代の空気感を読み解く手掛かりにもなり、ヴィンテージとしての説得力を底上げしています。
当個体は "REAL HIDE" レザーを採用。
使用されている革は恐らく "Cowhide(カウハイド)" で、成牛由来ならではの厚みと腰を感じさせる、頼もしい質感です。
表面には細かなシボと艶膜がうっすらと乗り、荒々しさだけで終わらない、どこか端正なニュアンスも併せ持った風合い。
袖を通す程に革の油分が動き、皺の入り方や光沢の立ち上がりが変化していく。
"馴致" されていく様な経年も楽しめます。
カラーは、深いブラックカラー。
所謂単色の黒ではなく、光を受けた瞬間に墨のような濃淡が揺らぐ、この奥行き。
ブラックの面に刻まれたシワと銀色パーツの冷たい反射がコントラストを生み、角度によって鈍い艶、シャープな輝きまで表情が移ろいます。
更に裏地のレッドキルティングが、開けた瞬間に "熱" を差し込む差し色に。
黒の硬質さを引き立てながら、スタイリング全体に色気の余韻を残します。
無機質になりがちなブラックレザーに、カウハイド特有の厚みと艶、そして赤いライニングの温度感を重ねる事で、タフさと艶やかさが共存するバランスに。
評価の高い年代のルイスレザーズジャケットは、探しても見つからない希少なアーカイヴピースと言えるでしょう。
ファッションアイテムとしてのタウンユースは勿論、本来の着用用途であるライダースジャケットとしてのご着用もお勧めします。
サイズ表記は "42"
日本サイズですと "L" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても日本人体型に合うゴールデンサイズかと思いますので、幅広い体型の方にご着用頂けるかと思います。
是非ともライダースジャケットらしく、ジャストサイズでご着用頂きたいです。
汚れ・傷・剥がれ等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージは見受けられませんので、まだまだご着用可能かと思います。
ヴィンテージルイスレザーズの中でも、中々お目にかかれない銘モデル "BRONX"
正に漢の浪漫が詰まりに詰まった、一生に一度は手にしたいルイスレザーズのダブルライダースジャケット。
ワードローブとしては勿論、コレクションアイテムとしても申し分ない1着。
当ショップでも滅多に入荷しない希少なアイテムとなりますので、お探しの方がいましたらこの機会に是非いかがでしょうか。