1976年支給、イタリア海軍『ブルーモールスキン ワークスモック』になります。
イタリア海軍(Marina Militare)とは、イタリア共和国の正規軍における海上戦力であり、同国の防衛体制における中核的存在として機能しています。
その起源は1861年、イタリア統一運動(リソルジメント)に伴い、サルデーニャ王国海軍を母体に統一国家の海軍として創設された『Regia Marina(王立海軍)』にまで遡ります。
以後、第一次世界大戦・第二次世界大戦を通じて地中海における主要な海洋国家としての立場を築きました。
特に第二次世界大戦中には、戦艦『リットリオ』級をはじめとする艦隊を有し、連合国と枢軸国の戦いの中で激戦を展開。
戦後、1946年に王政が廃止されイタリア共和国が成立すると同時に、『Marina Militare(共和国海軍)』へと改称され、装備と組織の抜本的な再編が行われました。
冷戦期にはNATOの一員として西側陣営の地中海防衛において中核的な役割を担い、近年ではアドリア海・インド洋・紅海・アフリカ沿岸部を含む多国籍任務にも積極的に参加。
特にアフリカ・サヘル地域での対テロ作戦、移民危機への海上人道支援、EU海軍部隊(EUNAVFOR MED)における制海任務など、戦術的・人道的両面において国際的責務を果たす存在となっています。
海軍独自の伝統美と合理性を併せ持つミリタリーデザインは、視覚的な機能美と実用主義の結晶として、ファッション・アートの文脈においても高い評価を受けています。
そんなイタリア海軍にて、戦艦甲板作業着として着用されていたと思われる "Blue Moleskin Work Smock" のご紹介です。
当個体は、第二次世界大戦期に "Royal Italian Navy(王立イタリア海軍)" にて戦艦甲板で着用されていたリネン素材のワークスモックをベースに、時代を経て素材や縫製技術の進化と共に継承された後年モデルと思われます。
当時のオリジナルディテールを色濃く残しつつ、より耐久性に富んだ『モールスキンコットン』へとアップグレードされた一着は、実用性と様式美が絶妙に同居したミリタリーウェアの真髄とも言える仕上がりです。
最も特徴的なのが、前立てに施された3ボタン留めのプルオーバー仕様。
必要最小限の開閉構造でありながら、着脱しやすい設計がなされ、ミリタリー特有の機能美が宿ります。
また、左胸のみにあしらわれた山型フラップポケットは、視覚的なアクセントとしても秀逸。
左右非対称のデザインは、無骨さの中に程良い抜け感を演出し、着る者の個性をさりげなく引き立てます。
襟部裏側には支給年の記載がされたスタンプが、首元内側にはサイズ表記と思われるスタンプも確認出来ます。
スタンプ内に "1976" の文字が確認できる為、当個体は1976年に正式に支給されていた物と推測されます。
当個体は "コットン100%" のモールスキン生地を採用。
滑らかな肌触りの中に僅かに感じる起毛感が特徴で、見る角度によって艶を纏った様な上品な表情を浮かべます。
かつて作業着として重用された歴史が物語る通り、厚みと密度を併せ持つ堅牢な素材でありながら、袖を通す毎に身体に馴染み、自分だけの風合いへと変化していく過程を愉しめるのも魅力の一つ。
高密度に織り上げられたモールスキン特有の詰まり具合が生む、保温性と耐久性。
現代のファッションにおいては寧ろラグジュアリーに映る、その重厚で柔らかな質感が、確かな存在感を演出します。
カラーは、深みのあるネイビーブルーカラー。
やや鈍さを含んだ落ち着きのある色調で、インクブルーの様な洗練された空気を纏いながら、しっとりとした光沢感が素材と絶妙に呼応。
経年により擦れた箇所にわずかなアタリが浮かび上がる事で、着用を重ねた時間さえもデザインの一部に昇華されていきます。
クラシカルなネイビーとは一線を画す、深さと陰影のあるこの色味は、スタイル全体に落ち着きを与えつつも、どこか凛とした印象を添える、実に絶妙なバランスのトーン。
静かに語りかけてくる様な、控えめながらも強い個性を感じさせる色と素材の組み合わせが、この一着の魅力をより一層引き立てています。
全体として、主張しすぎる事なく静かな存在感を纏った一着。
軍服としてのルーツを感じさせながらも、ファッションアイテムとして完成されたバランスが魅力です。
コレクターズピースである事は勿論、日常のスタイリングにも無理なく馴染む優秀なプロダクトです。
サイズ表記は "3"
日本サイズで "M" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても日本人体型に合うゴールデンサイズかと思いますので、幅広い体型の方にご着用頂けるかと思います。
ジャストサイズ・オーバーサイズのどちらで着用しても様になるかと。
生地特有のアタリ等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージは見受けられませんので、まだまだご着用頂けるかと。
1976年に実際に支給されていた事を示すスタンプが残された、由緒あるイタリア海軍のワークスモック。
第二次世界大戦時のデザインコードを継承しつつ、後年ならではの縫製技術と耐久性を備えた希少モデルです。
深みと艶を兼ね備えたネイビーブルーカラーが醸し出す空気感は、他のどのアイテムとも一線を画す唯一無二の佇まいと言えるでしょう。
市場でも見かける機会の少ない個体となりますので、ミリタリーウェアを深く愛する方、ヴィンテージファッションに強い審美眼を持つ方にこそ手に取って頂きたい逸品です。