推定80年代頃、Façonnable(ファソナブル)製『ボアカラー ミックスドウールベスト』になります。
Façonnable(ファソナブル)とは、1950年にフランス・ニースにて、マスター・テーラーであった "Jean Goldberg(ジャン・ゴールドバーグ)" が創業した、南仏発のハイエンド・クロージングブランド。
リゾート地の空気を纏いながらも、その根っこにあるのは "仕立て屋" の矜持であり、ニースの r"ue Paradis" に構えたブティック兼アトリエから物語が始まります。
ブランド名の『Façonnable』は、フランス語で "façonner(形作る/仕立てる)" を語幹に持つ言葉に由来し、語義としては『形作ることができる = malleable / shapeable』というニュアンスを含みます。
直訳の意味以上に、"布を形にする = 仕立て" という行為そのものを、ブランド名に封じ込めた様なネーミングと言えるでしょう。
その後、1961年には息子の "Albert Goldberg(アルベール・ゴールドバーグ)" が家業を継承し、南仏の一仕立て屋の評判は、やがて "リヴィエラのエレガンス" として広がっていきます。
所謂既製服でありながら、どこか『オーダーの気配』を残す。
当ブランドが長く愛される理由は、そこにあります。
アメリカの大手デパートに買収されたり、再びフランス企業の手に戻ったりと、紆余曲折はありながらも、今日もクラシックとモダンが共存する、大人の為の "プレミアムブランド" として知られています。
そんな南仏ニース発の高級ブランドである "Façonnable" より、機能性・デザイン性共に優れたウール混ベストのご紹介です。
まず目を惹くのは、襟元に据えられたボリュームのあるボアカラー。
スナップボタン留めによって着脱が可能な仕様なので、付ければクラシックなアウトドア感、外せばすっきりとしたワーク寄りの表情へと、印象を切り替えられるのが魅力です。
襟裏にはレザーが当てられ、ボアの柔らかさに対して "締まり" を作っている点も、フレンチブランドらしい品の良さを感じます。
フロントには、左右対称で大型のフラップポケットを配置。
視覚的にも機能的にも軸になるディテールで、ベスト特有の『前が間延びする』問題をポケットの面構えでしっかり解消しています。
また、左前見頃のポケット上部には、控えめな "Façonnable" の小タグが入り、主張し過ぎずにブランドの気配だけを残します。
両裾部には、レザーで入り口を縁取ったハンドウォーマーポケットが入り、ただの飾りではなく "手を入れたくなる" 実用性も担保。
袖口(アーム周り)は、アクションプリーツの様な二重構造を採用。
この箇所にもレザーが使われており、擦れやすいポイントを補強しつつ、レイヤードした際に横から覗く "異素材の切り替え" が絶妙なアクセントに。
アームホール幅も約29cmとゆとりがある為、厚手のニットやスウェットの上からでもストレスが少なく、時にはジャケットやコートの上に敢えて重ねて "外し" として使える、ありそうでない汎用性を持っています。
前合わせは、ジップファスナーによるジップアップ式。
ジップスライダーは無刻印ジップが採用されています。
内側には、ブランドネームである "Façonnable" の記載がされた、ブランドタグが付属。
タグ内に "MADE IN FRANCE" の表記が見られる点から、当個体は本国フランスにて生産された1着となります。
当個体は、表地に "ウール × ナイロン" のミックスファブリックを採用。
ふっくらと起毛感のあるウールの表情に、ナイロン由来のハリが重なり、暖かさと実用性を同時に引き上げた質感です。
更にレザー生地を要所に差し込む事で、柔らかな素材の中に輪郭が生まれ、着用を重ねる程にパーツ毎の "馴染み方" が育っていきます。
裏地が "コットン100%" という点も、肌当たりの良さと通気のバランスを整える、嬉しい仕立てです。
カラーは、深みのあるネイビーカラー。
一口にネイビーと言っても、これは所謂 "制服的" な青ではなく、黒に寄り添うほど沈んだ濃紺。
光が当たると、ウールの毛足がほんのり陰影を拾い、面の中で僅かなトーン差が立ち上がります。
加えて、ボアの柔らかなエクリュカラーと、レザーの温度感あるブラウンカラーが、ネイビーの静けさをより引き立てる構図に。
"落ち着き" を軸にしながら、異素材のコントラストで単調さを回避出来る、計算された配色バランスと言えます。
質の高さとデザイン性を兼ね備えた、流行り廃りに左右されない、現代のファッションにマッチするアイテムかと思います。
ファッションに対する深い理解と審美眼を持つ方にお勧めします。
サイズ表記は "3"
日本サイズで "M ~ L" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても日本人体型に合うゴールデンサイズかと思いますので、幅広い体型の方にご着用頂けるかと思います。
小穴・虫喰い等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージは見受けられませんので、まだまだご着用可能かと思います。
南仏ニースの仕立て屋から始まり、"リヴィエラのエレガンス" を既製服に宿してきた "Façonnable"
派手さで語らず、縫製と素材の説得力で大人の余裕を作る、知る人ぞ知るハイエンドブランドです。
流行り廃りなく、理解ある大人のワードローブに刺さる一着。
条件が合う方は、この機会をお見逃しなく。