推定80年代頃、CLOSED by Marithé François Girbaud(クローズド by マリテ・フランソワ・ジルボー)製『ディフォームドデザイン ショートジャケット』になります。
スペシャルアイテムの入荷です。
Marithé François Girbaud(マリテ・フランソワ・ジルボー)とは、1972年に創業者である "Marithé Bachellerie(マリテ・バシェレリー)"・"François Girbaud(フランソワ・ジルボー)" らによって、フランス・パリにて創業された自身らの名を冠したファッションブランド。
彼らは、デニムのストーンウォッシュ加工を初めて工業化し、バギージーンズやエンジニアードジーンズ等、独自のシルエットを生み出しました。
これらの革新的なデザインは、1980年代から1990年代にかけて、世界中のファッションシーンで注目を集め、特にヒップホップカルチャーとの親和性から、アーティストや若者達に支持されました。
しかし、2000年代に入るとブランドは経営難に直面し、2014年には事実上のブランド終了となった為、古き良きジルボーの姿はもうありません。
マリテ・フランソワ・ジルボーは、革新的な技術とデザインで、デニムの可能性を広げ、ファッション業界に多大な影響を与えました。
彼らのブランドは、今もなお、独自のスタイルと哲学を持つブランドとして、多くのファンに愛され続けています。
当個体は、前述にあるジルボーが手掛けたカジュアルラインである "CLOSED(クローズド)" よりリリースされた一着。
CLOSED(クローズド)は、1978年に新しいデニムブランドとして設計・設立され、デニムの新たな可能性を追求しました。
『X-Pocket Jeans(クロス・ポケット・ジーンズ)』というアイコニックなデニムデザインが注目され、CLOSEDの代名詞として今なお継承されています。
さて、前置きが長くなりましたが、こちらのジャケット。
いやぁ、変。変です。
パッと見ただけでも只者ではない空気を纏っているのですが、手に取って構造を紐解いていくと、その異常さがより鮮明に浮かび上がってきます。
そもそものデザインソース≒インプット自体、そして製品とする際のアプローチ≒アウトプット、共に劇的に強烈。
最大の特徴は、何と言ってもこの "超ショート丈" と "裾部の二重構造" でしょう。
正面から見ると、一見レイヤードを施しているかのような印象を受けるのですが、実はそうではない。
一番前面のボタン留めを開けると、その奥にもう一層。
裾部のみがボタン留めで固定された別のレイヤーが姿を現すのです。
つまり、一着のジャケットの中に "二つの前立て" が共存している。
外側のボタンを全て外した状態と、閉じた状態とでは、シルエットも印象も全く異なるものに変貌する。
着る度に、その日の気分やスタイリングに合わせて "表情を変えられる" 構造を、1980年代の時点で具現化していたという事実。
ジルボーの先見性と実験精神には、もう脱帽するしかありません。
襟元はスタンドカラー仕様。
立ち襟特有のシャープな印象が、ジャケット全体の変形的なデザインに端正さを加えており、奇抜さと上品さの均衡が実に見事。
肩部にはエポレットが付属。
ボタン留め式のクラシカルなエポレットは、ミリタリーやサファリの意匠を匂わせつつも、あくまでデザインアクセントとして機能しています。
肩のラインに緊張感を与え、ジャケット全体のシルエットに構築的な印象をもたらしてくれる、地味ながらも重要なディテールです。
両裾部に配されたスラッシュポケットも、一筋縄ではいかない仕様。
一番上のポケットは貫通式となっており、手を通すとそのまま内部に到達する構造。
その内側のレイヤー部に設けられたポケットは、通常のポケットとして機能する仕様となっています。
一つのジャケットの中で、ポケットの用途と役割が階層的に分かれている。
こういう細部の設計にこそ、ジルボーの執念にも似た拘りが垣間見えるわけです。
前合わせには、ボタン留めとジップファスナーによる二重構造を採用。
そして、ディテール面も勿論魅力的なのですが、この個体の第二の、いや、もしかしたら第一の魅力と言っても過言ではないのが、素材の構成です。
シェル部の主素材は、ヴィスコース65%×コットン35%。
ヴィスコースとはレーヨンの一種であり、木材パルプを原料としたセルロース系の再生繊維。
この素材比率が何を意味するかと言うと、生地にテロテロとした、実に "液体的" なドレープが生まれるのです。
一般的なコットンジャケットのパリッとした質感とは明確に一線を画す、流れる様な生地の動き。
着用して腕を動かす度に、身頃が柔らかく揺れ、光を受けた表面に繊細な陰影が走る。
この素材で、しかもこの変形デザインを組み上げているのだから、もう反則としか言いようがありません。
裏地にはコットン50% × ヴィスコース50%、中綿にはポリエステル100%が採用されており、軽量ながらも程良い保温性を確保。
ライニング含め全てがブラウンのワントーンで統一されているのも、イタリア製らしい美意識の表れでしょう。
カラーは、深みのあるブラウンカラー。
キャメルとも、テラコッタとも、少し異なる。
赤みを帯びた土のような温かみのあるブラウンは、ヴィスコース特有の微光沢と相まって、落ち着きの中にも色気を湛えた独特の色味を形成しています。
サイズ表記は "46"
日本サイズで "M" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても日本人体型に合うゴールデンサイズかと思いますので、幅広い体型の方にご着用頂けるかと思います。
汚れ・小穴・ボタン欠損等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージは見受けられませんので、まだまだご着用可能かと思います。
市場でも希少な80年代、且つイタリア製 "Marithé François Girbaud Closed"
洗練されたデザイン性と実用性が高次元で融合した、今の気分にぴったりなユーティリティアイテムです。
古き良き時代のジルボーが持っていた実験精神と革新性を、ここまで濃密に体現した個体に出会える機会は、今後益々少なくなって行く事でしょう。
当ショップでも滅多に入荷しない希少なアイテムとなりますので、お探しの方がいましたらこの機会をお見逃しなく。