推定90年代頃、SULKA(スルカ)製『ブラウンスエードレザー シャツジャケット』になります。
スペシャルアイテムの入荷です。
SULKA(スルカ)とは、1893年にペンシルベニア出身の実業家 "Amos Sulka(エイモス・スルカ)" と、フランス・アルザス=ロレーヌ地方出身の仕立て職人 "Leon Wormser(レオン・ワームサー)" によって、ニューヨークで創業された伝説的紳士洋品店。
興味深いのはその出発点で、最初の顧客は消防士や警察官、そして富裕層の執事たちでした。
やがて執事の雇い主である、ヴァンダービルト家・フォード家・グッゲンハイム家といったアメリカの名家たちが顧客となり、ブランドは一気にラグジュアリーの領域へ駆け上がります。
1904年にはパリに出店し、1920年代までに五番街、ロンドンのオールド・ボンド・ストリートへと展開。
更にフランス・リヨンにテキスタイル工場を取得し、最高品質のシルクを自社調達する体制まで築き上げました。
スルカの最大の魅力は、ラグジュアリーの本質を『誇示』ではなく『説得力』で語るところ。
シルクのネクタイ・スモーキングジャケット・ドレッシングガウン等。
全てが "ディテールの積み重ね" で、着る人の格を静かに底上げしてくれる銘品揃いです。
1989年にはカルティエやダンヒルを擁する "Vendôme Luxury Group" 傘下に入りますが、ブランド再建は叶わず、2002年に最後の店舗が幕を下ろします。
だからこそ、現在SULKAに出会えること自体が稀有な体験です。
"知っている人だけが静かに選ぶ名門"
次にいつ巡り合えるか分からないこの機会を、どうかお見逃しなく。
そんな伝説的紳士洋品店 "SULKA" より、上質なスエードレザーにて仕立てられたシャツジャケットのご紹介です。
こんな上品なスエードレザージャケットが、存在しても良いのでしょうか?
いや、本当に。
写真越しにすら伝わってくるこの色気と品格。
古着市場において、スルカのアイテムに出会える機会は極めて限られています。
2002年に最後の店舗が閉店して以来、新たな商品が世に出る事は二度となく、市場に残る個体は全て有限の "現存品" のみ。
その中でもレザーアイテムとなると、もはや遭遇率は極めて低いと言っても過言ではありません。
当ショップでも初入荷となる、正真正銘のスペシャルピースです。
デザインソースとして感じ取れるのは、アメリカのワークウェア、特にカバーオールの文脈。
胸部に左右のパッチポケット、裾部にも左右の大振りなパッチポケットと、計4つのポケットを前面に配した構成は、正にアメリカンワークウェアの王道的フォーマットです。
ところが、素材がスエードレザーに変わった途端、その印象は劇的に変貌する。
ワーカーの "道具としての服" が、紳士の "嗜みとしての服" へと昇華されているんです。
この、アメリカの匂いとヨーロッパの品格が良い塩梅で共存している感じ。
SULKAというブランドの出自 ── ニューヨーク創業でありながら、パリ・ロンドンの紳士文化に根差した美意識 ── を考えると、この二面性は実に腑に落ちます。
襟はシャツジャケットらしい、やや大振りのポインテッドカラー。
台襟からの立ち上がりが美しく、襟を立ててもサマになる絶妙な設計が施されています。
スエードの柔らかさ故に、襟が自然と弧を描く様に倒れ込み、これがまた何とも言えない色気を生んでいます。
裾の両サイドには、スリットが設けられています。
ロングレングスのシャツジャケットにおいてスリットの有無は着心地に直結する重要なディテールで、腰周りの窮屈さを解消すると共に、着座時のシルエットの崩れを防いでくれます。
スリットの内側からは、"SULKA" のモノグラムが織り込まれたダークブラウンの裏地がチラリと覗く。
この "覗き見せ" の美しさが、堪らない。
袖口は、ボタン留めのカフス仕様。
シャツの袖口と同じ構造で、こちらもSULKAの刻印が入ったボタンが使用されています。
フロントボタンも同様に、一つ一つにブランド名が刻印されたオリジナルのボタンが採用されており、過度な主張はせず、しかし確実にその存在を知らしめる。
正に "静かに語る" というSULKAのブランド哲学が、こうした細部にまで貫かれています。
背面には、ヨークの下にセンターボックスプリーツを配置。
これによって肩甲骨周りの可動域が確保されると共に、スエードレザー特有の重量感をドレープとして活かす事に成功しています。
この一本のプリーツが入っているだけで、背面の表情が格段にリッチになるんです。
シルエットは、ボックスカットを採用。
裾がラウンドではなく、ストレートに切り落とされたボックス型であるという事は、一見すると地味なポイントに思えるかもしれませんが、個人的にはこれがかなり嬉しい。
理由は単純明快で、ボックスカットの方が圧倒的に使い易いんです。
パンツの裾からジャケットの裾までが一直線に落ちる事で、カジュアルな着こなしとの親和性が格段に高まります。
ラウンドカットだとどうしてもドレス寄りの印象に引っ張られがちですが、ボックスカットならデニムとスニーカーという装いにも違和感なく馴染んでくれる。
この "抜け" の部分が、日常使いにおいて非常に重要なんですよね。
タグに "VERA PELLE / GENUINE LEATHER" の表記が見られる通り、素材には "リアルレザー(スエードレザー)" を採用。
指で触れた瞬間に分かる、極めて滑らかで柔軟性に富んだ上質なスエード。
革の起毛が均一に整えられ、まるでベロアの様な、しっとりとしたタッチが手に吸い付いてきます。
かなり柔らかく、心地良い肌触り。
レザーであるにも関わらず、まるでコットンシャツを羽織っているかの様なノンストレスな着心地を実現しています。
兎に角羽織ればもう絶対に手放せない、そんな沼にハマるような贅沢な着心地だと約束します。
カラーは、ブラウンカラーですが、テラコッタにも近い、温かみのあるリッチブラウンとでも言いましょうか。
スエード特有の起毛が光を拾う事で、見る角度や光の加減によって、明るいキャメルにも深いチョコレートにも表情を変えるのが魅力的です。
秋冬の装いは暗色に偏りがちですが、このブラウンは重くなり過ぎず、且つ軽薄にもならない。
正に大人の為のブラウンです。
サイズ表記は "42"
日本サイズで "L ~ XL" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても大きなサイズ感となりますので、大きな体型の方でも問題なくご着用頂けるかと思います。
当個体は、目立った汚れや傷等の見受けられない、ミントコンディション。
スエードレザーは本来、水染みや擦れ跡が付き易い繊細な素材ですが、当個体はそうしたダメージが殆ど見受けられず、起毛の状態も極めて良好。
前のオーナーが如何に大切にしていたかが伝わってきます。
2002年に幕を下ろした伝説的紳士洋品店 "SULKA"
その歴史が閉じてから、既に20年以上が経過しています。
今後新たにSULKAの製品が生まれる事は二度となく、市場に残る個体は刻一刻と減り続けている。
その中でも、イタリア製のスエードレザーシャツジャケットという、ブランドの美意識が凝縮された個体に出会える確率は、どれ程のものでしょうか。
"知っている人だけが静かに選ぶ名門" のレザープロダクト。
この出会い、どうかお見逃しなく。