推定90年代頃、Hermès Paris(エルメス)製『2タック ウールトラウザーズ』になります。
知らない人はいない最高峰のブランドでもある "Hermès Paris(エルメス)"
Hermès(エルメス)とは、1837年に馬具職人である "Thierry Hermès(ティエリ・エルメス)" 氏が、フランス・パリにて開いたハーネス工房に端を発する、言わずと知れた世界最高峰のメゾン。
その出自が示す通り、原点は "装飾" ではなく、過酷な環境でも揺るがない耐久性と、静かに滲む品格にあります。
1880年には息子の "Charles-Émile Hermès(シャルル=エミール・エルメス)" が工房を、現在も象徴的なアドレスとして知られる フォーブル・サントノレ通り24番地へ移し、オーダーメイドの馬具・鞍を手掛けながら、その評判をヨーロッパへと広げていきました。
エルメスの真骨頂は、伝統を守るだけで終わらない所。
戦間期に舵取りを担った "Émile Hermès(エミール・エルメス)" は、生活様式の変化を敏感に捉え、馬具の枠を越えてレザーグッズへと領域を拡張します。
象徴的なのが "ジップ" の導入。
カナダで目にした車の幌に使われる開閉機構に可能性を見出し、1922年にその使用権を得て、以後エルメスのバッグに広く取り入れていった。
この『機能を美へ転換する』発想こそ、エルメスらしさの核心と言えるでしょう。
1937年、"Robert Dumas(ロベール・デュマ)" によって初のシルクスカーフ(カレ)が誕生。
さらに1951年、エミールの娘婿であるロベール・デュマが経営を引き継ぐと、メゾンのアイコンが次々と形になります。
"Kelly bag(ケリーバッグ)"・"Chaîne d’ancre(シェーヌ・ダンクル)"等、エルメスの手にかかれば "日常の道具" から "永遠の記号" へ昇華される。1956年には、グレース・ケリーが手にした写真が世界に報じられたことを契機に、そのバッグは「ケリー」と呼ばれるようになりました。
1978年以降は "Jean-Louis Dumas(ジャン=ルイ・デュマ)" がメゾンを世界へ押し上げ、1984年には飛行機での偶然の出会いから "Birkin bag(バーキンバッグ)" が誕生。
エルメスの歴史は、いつだって "顧客の暮らし" の隣で更新されてきた事が分かります。
エルメスが語るのは、派手さではなく『手仕事の執念』と『使う人の人生』。
工房の精密さと、時代のライフスタイル。
その二つを一本の糸で縫い合わせてきたからこそ、エルメスのプロダクトは単なるラグジュアリーではなく、"使い続けるほどに説得力が増す道具" として成立します。
クラシックの顔をして、実は常に未来を見ているメゾン "Hermès Paris"。
一過性のトレンドでは辿り着けない領域を、ワードローブに迎え入れたい方へ。
そんな最高級ブランドと言えるエルメスより、普遍的なウールスラックスのご紹介です。
エルメスのトラウザーズでは珍しい "小さめサイズ × 2タック" という、探すと意外に出てこない条件が揃った一本。
端正なドレスパンツの文脈に、タックが生む量感と余韻が乗る事で、硬すぎず・崩れすぎない絶妙なバランスに着地した一本です。
個人的にも私物で多数タック入りのスラックスを集める程好きなディテールですが、やはりタックが入るだけで立ち姿のドレープが一段綺麗に出る。
トップスをタックインしても間延びせず、むしろ腰回りの余白が "大人っぽさ" として機能してくれるバランスです。
フロントはスラックスらしくミニマルな顔つき。
ウエストはボタン留めで、内側に留めを設けた "持ち出し" の作り。
腰を点ではなく面で支える感覚があり、シャツインした時の収まりも上品に。
バックスタイルは、ボタン留めのポケットが2つ配されたクラシックな構成。
ポケットのラインがスッと通っていて、後ろ姿に余計な主張を足さずに "整って見える" タイプ。
ジャケットを羽織った時も、背中側の品格を崩さない静かなディテールとして効いてきます。
フロントはジップフロント仕様。
ジップスライダーには、"YKK" 社製ジップが採用されています。
ウエストバンド部内側には、1990年代頃の個体と推測される "HERMES PARIS" の記載がされた、ブランドタグが付属。
シルエットは太すぎず細すぎず、僅かにテーパードがかったライン。
2タックで腰 〜 腿にゆとりを持たせながら、裾に向けて自然に収束するので、革靴で正攻法に纏めても、敢えてクリーンなスニーカーで外しても大人っぽく成立してくれるでしょう。
当個体は、表地に "ウール 100%" 生地を採用。
起毛感を過度に出さず、織りの目が立ったツイル調の質感で、しっとりとした落ち感と芯のあるハリを両立したバランス。
中厚手ならではの『穿いている感』はしっかりありつつ、重たさで脚に纏わり付く感じが少なく、動いた時のドレープが綺麗に出るタイプとなります。
裏地は "アセテート × ヴィスコース" の良い生地が当てられており、ウール特有の引っ掛かりを抑えながら、肌当たりまで品良く整えられています。
カラーは、遠目ではダークブラウンカラーに映る "メランジトーン"。
一見すると静かなダークブラウン。
けれど近づいて糸を追うと、玉蟲の様にほんのりグリーンが差し込み、更に僅かな赤みも混ざる複雑な表情。
単色のブラウンでは出せない奥行きがあり、光の角度や距離で濃淡が揺らぐので、トップスをシンプルにしてもスタイリングが平坦になりません。
暗色の落ち着きを持ちながら、どこか "色気のある違和感" を残す。
この塩梅が、さりげなく大人の空気を作ってくれます。
サイズ表記は "50"
日本サイズで "M" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても日本人体型に合うゴールデンサイズかと思いますので、幅広い体型の方にご着用頂けるかと思います。
汚れ等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージは見受けられませんので、まだまだご着用可能かと思います。
数あるラグジュアリーメゾンの中でも最高峰として君臨し、静かな品格と "道具としての説得力" を積み重ねてきた "Hermès Paris"
エルメスのトラウザーズでこの仕様・この色気が揃う個体は流通が限られ、次を待てる類ではありません。
ワードローブの基準値を引き上げたい方へ。