推定30年代頃、フランス軍『インディゴヘリンボーンツイルコットンリネン メカニックトラウザーズ』になります。
スペシャルアイテムの入荷です。
フランス軍(Armée française)とは、フランス共和国の正規軍であり、主に陸軍(Armée de Terre)・海軍(Marine nationale)・空軍および宇宙軍(Armée de l'Air et de l’Espace)・国家憲兵隊(Gendarmerie nationale)から成り立っています。
この中で狭義の『フランス陸軍(Armée de Terre)』は、最も古い伝統を持ち、その起源は中世カペー朝時代にまで遡る事が出来ますが、近代的な国家軍としての体制は、フランス革命(1789年)以降に確立しました。
第一次世界大戦では、フランス陸軍は連合国側の主力として戦い、多大な犠牲を払いながらも勝利に貢献。
続く第二次世界大戦では、1940年のドイツ軍による電撃戦で敗北し、ヴィシー政権下では一部の軍がドイツの管理下に置かれましたが、一方で "自由フランス軍(Forces françaises libres)" がシャルル・ド・ゴールの指導の下、連合国と共に活動しました。
第二次大戦後、1946年に第四共和政が成立すると共にフランス軍は再編され、植民地戦争(インドシナ戦争・アルジェリア戦争など)に従軍。
その経験は冷戦下の軍事ドクトリンにも影響を与えました。
現在のフランス軍は、欧州連合・NATO・国連の枠組みを通じて、国際安全保障の主要な担い手としての地位を維持しており、特にサヘル地域での対テロ作戦(オペレーション・バルカン)や、空母『シャルル・ド・ゴール』などを基軸とする外征能力によって、グローバルな軍事行動を展開しています。
そんなフランス軍より、整備作業服として支給・着用されていた "Indigo HBT Cotton Linen Mechanic Trousers" のご紹介です。
フレンチミリタリーの中でも、見かける機会の少ない存在である当個体。
所謂フロントラインの兵士というより、整備・補修・裏方の作業に寄り添う為のワークウェアとして成立しており、ディテールの一つ一つが『動く』『汚れる』『屈む』といった現場の所作から逆算された、極めて実用本位の一本と言えます。
ベルトループではなく、ウエスト帯にサスペンダー用ボタンを配置したクラシックな設計で、タックインした際の腰回りの見え方がとにかく美しい。
装飾の為ではなく『吊って穿く』為のディテールですが、結果としてウエストラインに独特のリズムが生まれ、シンプルな装いでも一気に雰囲気が出ます。
前合わせは、ボタンフロント仕様。
ボタンホールには時代を感じられる手縫いのボタンホールが見られ、量産の整った均一さとは別種の温度感が宿ります。
開閉の所作すらクラシックに映る、こういう古い作り込みが、30年代の空気を一番ストレートに伝えてくれる部分でしょう。
両サイドのハンドポケットは、サイドシームに沿う形でミニマルに配置。
ポケットの主張を抑えつつ、手の導線は自然で、横姿のラインを崩さないのが魅力です。
"軍パンらしさ" の強い貼りポケット型とは違い、都会的にスッと見えるので、ワーク・ミリタリーを上品に纏めたい時に効いてきます。
背面には、ウエスト調整用のシンチバック(マルタンガル)が付属。
このバックスタイルがあるだけで、後ろ姿が急に "制服" として成立する。
絞って穿けば腰位置が決まり、トップスをアウトで被せても背中にポイントが残るので、スタイリングの完成度が上がります。
シルエットは、ストレート。
太過ぎず細過ぎず、縦に落ちるラインが綺麗で、インディゴの陰影も相まって脚の収まりが端正に見える印象です。
ミリタリーらしい骨格は保ちつつ、どこか "抜け" があるバランスで、ジャケットにもスウェットにも寄り添う懐の深さがあります。
一点、裾上げが施されている個体となり、それに伴いインシームが短め。
ただ、ここをネガティブにせず、寧ろこの股下の短さを活かして、"ロングソックス × スニーカー" で軽快に振る提案はかなり面白いと思います。
重心が上がり、30’sの古い生地感を "野暮ったく" ではなく "洒落て" 見せられる、今っぽい着地が作れるかと。
当個体は、インディゴ染めの "ヘリンボーンツイルコットンリネン" 生地を採用。
ミリタリー由来のタフさを軸にしながらも、リネンを混ぜる事で硬さ一辺倒にならず、どこか空気を孕む様な軽さとしなやかさも併せ持った質感です。
HBT特有の畝が生地表面に細かな起伏を生み、皺や動きに合わせて陰影が立つ為、無骨なトラウザーズでありながら立体的に映ります。
そもそもフレンチヴィンテージにおいて、HBT織のコットンリネン生地自体が希少。
更にそれを "インディゴ染め" で仕立てている点が、当個体の価値を決定づける最大の魅力と言えるでしょう。
カラーは、著しい経年変化が見られるインディゴフェードカラー。
ここがもう一段、希少性の核。
"ただのブルー" ではなく、インディゴ(藍)で染めたからこそ出る褪色が、この一着にはあります。
青い染料で均一に染めたワークウェアとは違い、摩耗・日焼け・洗いが積み重なって生まれる階調が、淡い水色から深い藍までを同居させ、色に奥行きを作る。
表では美しいフェードが主役になりつつ、裏や縫い代付近にはまだ濃く残る "藍" が覗く。
このコントラストこそ、インディゴ染の醍醐味と言えます。
サイズ表記は確認出来ませんが、日本サイズで "XS ~ S" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても小さめのサイズ感となりますので、小柄な体型の方でしたら問題なくご着用頂けるかと思います。
褪色・生地特有のアタリ・汚れ・擦れ・ボタンの付け替え・ボタン欠損・裾上げ等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージ見受けられませんので、まだまだご着用頂けるかと思います。
数あるフレンチミリタリーの中でも、トップピースとして語られる存在である "Indigo HBT Cotton Linen Mechanic Trousers"
ディテールで誇張せず "素材と染め" だけで格を見せる、別格の一本です。
ワードローブとしては勿論、コレクションアイテムとしても 申し分ない1着。
当ショップでも滅多に入荷しない1着になりますので、お探しの方はこの機会をお見逃しなく。