推定50年代頃、Adolphe Lafont(アドルフラフォン)製『ブルーコットンツイル グランパシャツ』になります。
フレンチワークウェアブランドの中でも、特に高い人気と信頼を誇る老舗ブランドが "Adolphe Lafont(アドルフ・ラフォン)"
その歴史は1844年、フランス・リヨンにて創業者 "Adolphe Lafont(アドルフ・ラフォン)" によって開かれた織物商に始まります。
その後、息子である "Adolphe Benoît Lafont(アドルフ・ブノワ・ラフォン)" が1875年に仕立て屋の工房を加えた事で、ブランドは本格的に衣料製造の道へと歩みを進めました。
更に、三代目となる "アドルフ・ラフォン(孫)" が中心となって作業服の製造を本格化。
最初に手掛けたのは、コーデュロイを使用したカーペンターパンツであったと伝えられています。
そして1896年、ブランドは "Adolphe Lafont Lyon" の名称で商標登録を果たし、以降は代々に亘りフランス国内外の労働者に向けて高品質なワークウェアを供給し続けました。
長きに亘って作業服の在り方を追求し続けたアドルフ・ラフォンは、1952年にその生涯を終えますが、彼の築いた品質と実用性への理念は、今なおフレンチワークウェアの象徴として受け継がれています。
そんな約200年の歴史あるブランドである "Adolphe Lafont" より、フレンチワークウェア不動の定番アイテムである "グランパシャツ" のご紹介です。
フレンチヴィンテージスタイルに欠かせない存在である "Grandpa Shirt(グランパシャツ)"
その名に "Grandpa(祖父)" の名を冠しながらも、実際にはフランスの労働者階級や農民・職人、更には学生や兵士達にまで広く支給・着用されていた、極めて実用的なワークシャツとなります。
19世紀末から20世紀中頃にかけてのフランスでは、シャツは肌着としての役割を果たすと同時に、上着の下に着用する実務的な日常着・作業着として不可欠な存在でした。
また、既製品という概念が一般化する前夜であった事から、ブランドによる大量生産は限られており、タグが付されていないものや家内制手工業的に生産された無銘の個体も多く見られます。
使用されていたファブリックも多岐に亘り、軽量なコットン生地・シャンブレー生地・リネンを中心に、寒冷地ではフランネルや厚手のウールシャツが選ばれる等、地域・季節・用途によって素材は多様でした。
その為、一見同じ "グランパシャツ" という名称でも、生地の織りやボタン・ステッチ・裾のカットに至るまで、製造背景による個体差が非常に豊かである点も、大きな魅力の一つとなっています。
現代においても、その素朴でありながら機能性に優れたデザインと、生活に根ざした歴史性から再評価されており、"Grandpa Shirt" はフレンチワークウェアの原点を体現する一着として高く評価され続けている逸品です。
当個体のフロントは、グランパシャツを象徴するプルオーバー仕様。
前立ては第4ボタンで止まるハーフオープン式で、素早い着脱と程良い通気性を両立しています。
両胸部には左右対称のフラップポケットを備え、ポケット中央には深いプリーツを配して容量を確保。
フラップの緩やかなカーブと細やかなステッチワークが、タフなワークシャツに上品なニュアンスを加えています。
裾は前後差をつけたロングテイルで、サイドにはマチ無しのスリットを採用。
着丈の長さを活かしつつ、裾周りの動きやすさも計算されています。
また内側には、アドルフラフォン製特有となる、黒地に赤・白色の "刺繍タグ" が付属。
刺繍タグの中でも古い年代に部類されるディテールで、40年代頃までの個体に見られる事が多い印象です。
ブランドラベル直下には "SANFOR" 表記の刺繍タグが付属する事から、恐らく1950年代初頭頃までの個体かと推測します。
SANFOR(サンフォライズド)加工とは、布地を事前に収縮させる事で洗濯後の縮みを抑える防縮技術であり、タグに記された "NE RÉTRÉCIT PAS(縮みません)" の表記がその性能を保証しています。
シンプルにワークパンツと合わせてフレンチワークらしい無骨なスタイリングを楽しむのは勿論、スラックスやワイドパンツと合わせてモード感のある着こなしにも好相性。
当個体は、"コットン100%" の高密度ツイル生地を採用。
しっかりと目の詰まった織りがもたらすのは、タフな耐久性と柔らかな落ち感の共存。
長年の使用にも耐えうる堅牢さを備えながら、着用を重ねる毎に身体に馴染み、唯一無二の表情へと変化していきます。
カラーは、長い年月を経て生まれたインクブルーフェード。
濃淡のグラデーションは自然かつ奥深く、肩や襟先は淡く、裾に向かって深みを帯びる色の移ろいが、まるで時を閉じ込めたかの様な風合いを演出します。
摩擦の少ない部分にはオリジナルの濃色が残り、そのコントラストが生地の立体感と陰影を際立たせています。
サイズ表記は "41"
日本サイズで "M" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても日本人体型に合うゴールデンサイズかと思いますので、幅広い体型の方にご着用頂けるかと思います。
褪色・汚れ等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージ見受けられませんので、まだまだご着用頂けるかと思います。
フレンチワークウェアを語る上で欠かせない立ち位置に存在するワークブランド "Adolphe Lafont"
特に古い年代の個体となると一気に球数が減る印象です。
特にシャツ類の現存数は決して多くなく、中でもグランパシャツは非常に珍しいアイテムと言えるでしょう。
ワードローブとしては勿論、コレクションアイテムとしても申し分ない1着。
アドルフラフォン製の個体は中々お目にかかれないかと思いますので、お探しの方がいましたらこの機会をお見逃しなく。