推定50年代頃、フランス軍『カモフラージュ リテイラード ウィンドプルーフトラウザーズ』になります。
スーパースペシャルアイテムの入荷です。
フランス軍(Armée française)とは、フランス共和国の正規軍であり、主に陸軍(Armée de Terre)・海軍(Marine nationale)・空軍および宇宙軍(Armée de l'Air et de l’Espace)・国家憲兵隊(Gendarmerie nationale)から成り立っています。
この中で狭義の『フランス陸軍(Armée de Terre)』は、最も古い伝統を持ち、その起源は中世カペー朝時代にまで遡る事が出来ますが、近代的な国家軍としての体制は、フランス革命(1789年)以降に確立しました。
第一次世界大戦では、フランス陸軍は連合国側の主力として戦い、多大な犠牲を払いながらも勝利に貢献。
続く第二次世界大戦では、1940年のドイツ軍による電撃戦で敗北し、ヴィシー政権下では一部の軍がドイツの管理下に置かれましたが、一方で "自由フランス軍(Forces françaises libres)" がシャルル・ド・ゴールの指導の下、連合国と共に活動しました。
第二次大戦後、1946年に第四共和政が成立すると共にフランス軍は再編され、植民地戦争(インドシナ戦争・アルジェリア戦争など)に従軍。
その経験は冷戦下の軍事ドクトリンにも影響を与えました。
現在のフランス軍は、欧州連合・NATO・国連の枠組みを通じて、国際安全保障の主要な担い手としての地位を維持しており、特にサヘル地域での対テロ作戦(オペレーション・バルカン)や、空母『シャルル・ド・ゴール』などを基軸とする外征能力によって、グローバルな軍事行動を展開しています。
そんなフランス軍より、アルジェリア戦争期にフランス軍で用いられた、"Windproof Pattern" カモフラージュのトラウザーズになります。
英国SASのオーバートラウザーズを元に、実戦運用と着用性を高める為に手を加えたと思しき一本。
無骨さと端正さが高次元で共存する、他に替えのない佇まいです。
ベースは、英国軍がデニソンスモックの亜流として採用した "Windproof Pattern" のオーバートラウザーズ。
オリジナルは制服の上に重ね穿きする前提ゆえ極めてワイドな設計でしたが、当個体はボタンフライへ改め、フロントに2タックを入れつつも脚幅をすっきり詰めて、日常的な一本として成立するフィットにモディファイされています。
細幅のベルトループを新設している為、現行ベルトでの運用も容易となっており、ドローコード仕様が苦手な方でも着用しやすいかと思います。
両大腿部の真横に大判フラップのカーゴポケットを配置。
物の出し入れが多い局面でも信頼感のある作りとなっています。
裾口はゴムシャーリング仕様。
ブーツイン時の密閉性と裾のバタつき抑制に優れ、ギャザーの膨らみと相まって緩やかなテーパード〜バルーン気味のシルエットを形成。
ブーツは勿論、女性ならパンプスやメリージェーンに合わせたミックス感のある着こなしもお勧めです。
手持ちの資料では、オリジナル仕様のウィンドプルーフ・トラウザーは『英国軍がウールの作業ズボンの "上から穿く" よう設計した為、カッティングはとりわけ広い。
素肌に直接はくと衣擦れ音がして形が保てず、そのためフランス側では脚幅を細く詰める処理が行われた』とされ、
更に『背面を見ると、改造の詳細が分かる。実用性の高いのは締め紐に代えてベルトループを新設した点。裾口にはゴムが入っている。アルジェの著名な仕立屋デュポンが部隊の注文で軍装を多数改造した』と記載。
加えて『ウエストの調整・縦型ループ帯の追加・後部 "リボルバー・ポケット" の追加・左右に大型フラップポケットの新設・脚幅の細幅化と裾のゴム、稀にドローコード化』など多様な改修例が挙げられています。
こうした上下セットは個人が街や部隊付きの仕立屋でサイズ直し・追加改造を重ね、勤務用・外出用・式典用、更には戦闘行動中にも着用。
空挺(TAP)を象徴しつつも、猟兵コマンド等の非空挺部隊でも用例があるとされます。
これらの記述は、当個体の2タック化・ベルトループ新設・裾ゴム化・カーゴの配置といった仕様に見事に符合しており、当時のフィールドカスタムを色濃く反映した1本である事を裏づけます。
サイズ表記は確認出来ませんが、日本サイズで "XS ~ S" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても小さめのサイズ感となりますので、小柄な体型の方でしたら問題なくご着用頂けるかと思います。
汚れ・小穴・ボタンの損傷・ボタン欠損・リペア跡等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージは見受けられませんので、まだまだご着用頂けるかと。
英国生地 × 仏軍改造という稀有な背景を持つ、アルジェリア戦争期のリテーラードトラウザーズ。
資料性と実用性を兼備した "語れる" 一本です。
市場流通も非常に限られており、入手の機会はごく僅かと言えるでしょう。
ワードローブの核としては勿論、コレクションピース・デザインソースとしても申し分のない一本。
国内外問わず滅多にお目にかかれない逸品かと思いますので、探されていた方や珍しいアイテムが好きな方はこの機会をお見逃しなく。