推定80年代頃、Moment Due by Marithé François Girbaud(モーメント・デュー by マリテ・フランソワ・ジルボー)製『モーターサイクルタイプ ダブルブレストジャケット』になります。
Marithé François Girbaud(マリテ・フランソワ・ジルボー)とは、1972年に創業者である "Marithé Bachellerie(マリテ・バシェレリー)"・"François Girbaud(フランソワ・ジルボー)" らによって、フランス・パリにて創業された自身らの名を冠したファッションブランド。
彼らは、デニムのストーンウォッシュ加工を初めて工業化し、バギージーンズやエンジニアードジーンズ等、独自のシルエットを生み出しました。
これらの革新的なデザインは、1980年代から1990年代にかけて、世界中のファッションシーンで注目を集め、特にヒップホップカルチャーとの親和性から、アーティストや若者達に支持されました。
しかし、2000年代に入るとブランドは経営難に直面し、2014年には事実上のブランド終了となった為、古き良きジルボーの姿はもうありません。
マリテ・フランソワ・ジルボーは、革新的な技術とデザインで、デニムの可能性を広げ、ファッション業界に多大な影響を与えました。
彼らのブランドは、今もなお、独自のスタイルと哲学を持つブランドとして、多くのファンに愛され続けています。
当個体は、前述にあるジルボーが手掛けたラインである "Moment Due(モーメント・デュー)" よりリリースされた、1940年代頃までのドイツ製モーターサイクルジャケットをモチーフとした逸品。
Moment Due(モーメント・デュー)は、ジルボー夫妻の『静かなる挑戦』を体現した、思想的でアート性の高い派生ライン。
"モードと機能の境界線を溶かし、服が語る瞬間(Moment)に向けて、価値(Due)を生む" という思想の元、既存のファッション文脈から一歩踏み出すかの様に誕生しました。
当個体では、洗練されたシルエット・素材遣い・ディテールへの拘りが、クラシックなモーターサイクルデザインに新たな息吹を与えています。
ドイツ製のモーターサイクルジャケットに見られる1940年代頃までの構造を基軸としながら、デザインのエッセンスをモダンに再構成したプロダクト。
まず目に飛び込んでくるのは、フロントに並んだ重厚なチェンジボタン。
左右対称に整然と配されたダブルブレスト仕様が、力強くも整然とした表情を演出。
その中で特筆すべきはボタンの意匠。
クラウンやエンブレムが刻まれた立体的なメタルボタンは、実用と装飾が交差する軍服的美学を色濃く反映しています。
ボタン留めに加え、両胸部・両裾部にはジップポケットを斜めに配置。
この逆八の字と八の字が織りなす線は、視線を自然に上下へ導き、全体のシルエットを引き締める効果を担います。
ジップには無刻印のシンプルなメタルパーツを採用。
過剰な主張を避けながら、武骨な存在感を損なわない設計です。
襟はノーカラー仕様。
敢えて襟を省いたことで、レイヤードの幅を広げるだけでなく、フロントディテールの密度がより一層際立つ構成に。
スタイリング的に言えば、タートルネックやシャツとの相性も抜群で、コーディネートの振れ幅を持たせています。
背面にはウエスト調整用のアジャスターベルトを両サイドに装備。
僅かに絞りを加える事で、直線的なバックシルエットに僅かな起伏をもたらし、立体感のある後ろ姿を形成します。
袖口にはジップによる開閉機構を配置。
袖通しを容易にするだけでなく、気温やインナーの厚みに応じた柔軟な着こなしを可能にする等、実用性をきちんと担保しています。
そして裾部には、レザー素材のストラップ付きボタンタブを装備。
意匠的なアクセントとしては勿論、着用時のホールド感にも寄与する、細部への気配りが光るディテールです。
内側には "MOMENT DUE" の記載がされた、ブランドタグが付属。
首元には "MADE IN ITALY" の表記が見られる点から、当個体は本国イタリアにて生産された1着となります。
当個体に採用されているのは、コットンをベースとした混紡と思われる滑らかなファブリック。
ラベル表記こそ無いものの、実際に手に取った際のタッチは、滑らかさの中にほのかな張り感を感じさせ、まるでゴム引きの様な僅かな反発性が印象的。
肌触りはカサつきが少なく、しっとりと吸い付くような柔らかさがあり、着込む程に身体に沿う馴染みの良さを見せてくれる筈。
経年変化によって折り目や縁にあたりが浮かび上がる事で、自分だけの風合いへと育てていく楽しさも、大きな魅力の一つです。
カラーは、無骨さを和らげるサンドベージュカラー。
一見するとベーシックな印象を与えつつも、光の角度や質感との相互作用によって、淡く濃淡が現れる奥行きのある色味。
落ち着いたトーンながらも、陰影の出やすい絶妙な色設計により、シルエット全体が立体的に浮かび上がる様な視覚的効果をもたらします。
あくまで無骨でありながらも、スタイリングに柔らかさを添えるニュートラルなバランス。
この "サンドベージュ" という選択こそが、当個体の洗練された印象を決定づける要素となっています。
サイズ表記は確認出来ませんが、日本サイズで "M" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても日本人体型に合うゴールデンサイズかと思いますので、幅広い体型の方にご着用頂けるかと思います。
ほつれ・割れ等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージは見受けられませんので、まだまだご着用可能かと思います。
市場でも希少な80年代、且つイタリア製 "Marithé François Girbaud Moment Due"
ただのモーターサイクルリプロダクトには終わらない、構築的で洗練された一着。
語れるディテールがあるからこそ、着る度に新たな発見と愛着が深まる、そんなプロダクトです。
単なるファッションピースとしてではなく、思想性や時代背景までも含めて楽しんで頂けるかと。
ピンと来た方は、是非お早めのご決断を。