推定90年代頃、ARMANI JEANS(アルマーニジーンズ)製『ブラウンコットンツイルトラウザーズ』になります。
ARMANI JEANS(アルマーニジーンズ)とは、デザイナーである "Giorgio Armani(ジョルジオ・アルマーニ)" が、アルマーニの世界観を "デニムという日常着" へ落とし込む為に 1981年に立ち上げたカジュアルライン。
いわば、メゾンのエレガンスをそのままに、肩の力を抜いて着られる『もう一つのアルマーニ』として機能してきた存在です。
ジョルジオ・アルマーニは、構築的で堅牢なスーツが主流だった時代に、芯地や肩パッドの "強さ" ではなく、抜け感のある仕立てと端正なラインでメンズの美意識を塗り替えた人物。
イタリアのモードを牽引した存在として、当時は "Giangranco Ferre(ジャンフランコ・フェレ)"・"Gianni Versace(ジャンニ・ヴェルサーチ)" と並び『ミラノの3G』と呼ばれることもありました。
また、1982年4月5日号の "TIME" の表紙を飾った事も、彼の影響力を象徴するエピソードとしてよく知られています。
そんな "端正さの王道" が、敢えてジーンズに踏み込んだのが "ARMANI JEANS"
狙いは明確で、当時加速度的に市民権を得ていったデニムを、ただのカジュアルでは終わらせず、都会的で、清潔感があり、品よく見える日常着へ引き上げることでした。
このラインの最大の魅力は、アルマーニが得意とする "引き算の美学" を、もっともラフな素材であるデニムに対しても貫いた点にあります。
派手な装飾で語らず、シルエット・色落ち・ステッチワーク・ポケット配置といった当たり前の要素を丁寧に整える事で、カジュアルなのに妙に大人っぽい。
そんな『空気感』を作ってしまう。
つまりアルマーニジーンズは、ラグジュアリーの記号ではなく、設計の上手さそのものが価値になっているラインです。
そして重要なのが、この名前が "現在進行形のライン" ではないという事。
ジョルジオ アルマーニ社は2017年のブランド再編で、"ARMANI JEANS" と "ARMANI COLLEZIONI" を終了し、以降は GIORGIO ARMANI / EMPORIO ARMANI / A|X ARMANI EXCHANGE の3本柱へ集約。
ARMANI JEANS は主に EMPORIO ARMANI 側へ組み込まれる方針が報じられました。
アルマーニジーンズは、"当時のアルマーニが本気で作った日常着" であり、なおかつ "今はもう新たに増えない" アーカイヴの一部です。
そんなアルマーニジーンズより、王道的な "5ポケットデニム" の意匠をベースに仕立てられた、コットントラウザーズのご紹介です。
左右のフロントポケットにコインポケット、要所を補強するリベット。
デニムパンツで見慣れたディテールを踏襲しながらも、イタリアブランドらしい端正さが滲むバランス感が魅力です。
コインポケット部には、ブランド名を刻んだ "ARMANI J." のタグが付属。
主張の強いロゴではなく、あくまでさりげなく "分かる人にだけ分かる" 位置に置かれたネームが、スタイリングに品のある遊びを足してくれます。
バックスタイルも抜かりなく、右バックポケット部には小振りな "GAロゴ" を配置。
ジュエリーの様に控えめな光沢が、赤みがかったブラウンと相まって、土っぽさの中にラグジュアリーの艶を差し込む仕上がりに昇華してくれます。
フロントはジップフロント仕様。
ファスナーにはイタリア製ジップの代名詞とも言える "LAMPO" を採用しており、引き手まで含めて古き良きイタリア物らしい空気感をしっかり残しています。
シルエットは、細身のストレート。
腰回りはすっきり、裾にかけて癖の無いラインなので、革靴からスニーカーまで受け止める汎用性があり、ジャケット合わせでも崩れ過ぎない一本と言えるでしょう。
色味的にも、是非とも秋冬の装いに採用して頂きたい一本。
ニットやツイード、レザー等の重たい質感とも自然に溶け込み、季節のムードを底上げしてくれます。
当個体は、"コットン100%" のツイル生地を採用。
所謂デニムのガサッとした硬さではなく、表面にほんのり起毛感を感じさせる、非常にしなやかなタッチが魅力です。
綾目(ツイル)特有の畝が生む立体感は無骨さを残しつつも、肌当たりは丸く上品で、穿き始めから身体に馴染む感覚を味わえます。
タフな素材感ゆえに、日常で付く《生地特有のアタリ》さえも陰影として表情に変わり、穿き込む程に "味" が深まる一本です。
カラーは、赤みを含んだブラウンカラー。
ただのブラウンでは表現しきれない、この色の奥行き。
赤土の様な温もりを感じるブラウンが、土っぽさと端正さを同時に纏い、静かに存在感を放ちます。
ツイルの畝が光を拾う事で陰影が生まれ、見る角度によって濃淡のグラデーションが浮かび上がるのも、この生地ならでは。
サイズ表記は "30"
日本サイズで "S" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見てもやや小さめのサイズ感となりますので、小柄な体型の方でしたら問題なくご着用頂けるかと思います。
生地特有のアタリ等の使用感はありますが、着用に問題のある大きなダメージは見受けられませんので、まだまだご着用可能かと思います。
構築ではなく "抜け" でメンズの美意識を塗り替えた、ジョルジオアルマーニの引き算の哲学。
『派手さではなく設計で魅せる』アルマーニらしさが、最も日常で効く一本。
コンディションと年代が揃う個体は流通が限られますので、大人の定番として一本押さえたい方は、この機会をお見逃しなく。