推定90年代頃、Paul Smith(ポール・スミス)製『ブラックベロア ショートスリーブシャツ』になります。
Paul Smith(ポール・スミス)とは、1970年に創業者である "Paul Smith(ポール・スミス)" 氏によって、イギリス・ノッティンガムにて創設された、ブリティッシュクラシックにユーモアと遊び心を融合させたラグジュアリーブランド。
創業以来、『クラシックをベースに "捻り" を効かせる』というブランド哲学のもと、紳士服の常識を覆す革新的なスタイルを打ち出してきました。
"伝統の再解釈" をキーワードに、英国のテーラリング文化に現代性と個性を巧みに掛け合わせたデザインは、世界中のファッショニスタを魅了しています。
ポール・スミス氏は、元々サイクリストを目指していた経歴を持ちながら、事故をきっかけに服飾の世界へ転向。
僅か24歳で初のショップをオープンし、1976年にはパリで初のメンズコレクションを発表。
その独特の色彩感覚とユニークな視点は、既存のモード界に新風を吹き込みました。
ブランドの最大の魅力は、正統派の仕立てに対する深いリスペクトと、"日常の中の非日常" を感じさせるディテールへの拘りにあります。
ジャケットの裏地やボタン、内ポケットにまで遊び心を散りばめる事で、"着る喜び" や "驚き" を生み出し、日々のスタイルをより豊かなものへと昇華させています。
特に1990年代以降は、レディースラインやインテリア、アートとのコラボレーション、更にはロンドン五輪の公式ユニフォーム等、ブランドの世界観を多角的に展開。
『Paul Smith = イギリスの国民的デザイナー』として、その地位を確固たるものにしました。
そんなラグジュアリーブランドであるポール・スミスより、ブラックベロアという珍素材を採用したショートスリーブシャツのご紹介です。
一見して目を惹く、光沢感ある漆黒のベロア。
その質感は、角度や照明に応じて奥行きある陰影を生み出し、シンプルな構成ながらも圧倒的な存在感を放ちます。
最大の特徴は、この素材感で『半袖シャツ』として成立させている点にあります。
ベロアといえば本来、秋冬に多用される素材。
そのしっとりとした艶やかさと保温性が魅力ですが、本作では敢えてこの重厚な素材をショートスリーブに落とし込み、"軽やかさと重厚さ" を同時に宿すという、極めて稀な意匠に昇華しています。
襟元はシャープな角度で構築された鋭角設計。
ボタンを上まで留めれば端正に、開けて着れば抜け感のあるスタイルへと様変わりする、表情の幅が魅力です。
左胸には小ぶりなパッチポケットが付属。
ボディと同素材の為、主張を抑えつつもデザインとしての立体感をプラス。
首元内側には、ブランド名である "Paul Smith" の記載がされた、ブランドタグが付属。
本国イギリス製を証明する "MADE IN ENGLAND" が記載されている点も嬉しいポイントではないでしょうか。
やや細身で身体に沿う様なシルエット設計により、素材特有の落ち感が強調され、動く度に柔らかく流れるドレープが生まれます。
一見ストイックでありながら、どこか艶のあるムードを醸す、正に "大人の遊び" を感じさせる逸品です。
生地は表記等が無いため断定はできかねますが、肌触り・光沢・伸縮性などから "ベロア素材(化繊混)" であると推測されます。
しっとりと吸い付く様な質感が特徴で、着用時のストレスも感じにくい点が魅力と言えるでしょう。
カラーは、漆黒のブラックカラー。
この1着に宿るのは、ベロアという素材が生み出す "深黒" の世界。
光を吸い込み、時に反射し、まるで陰影そのものを纏っているかの様な漆黒の表情を見せてくれます。
ドライなマットブラックとは一線を画し、見る角度や動きによって微細な艶が浮かび上がるその様は、正に "動きのある黒" 。
静けさと色気を併せ持つベロア特有の質感が、モードにもクラシックにも振れる余白を残しています。
"黒の美しさ" を追求したい方にこそ相応しい、孤高の1着です。
サイズ表記は確認出来ませんが、日本サイズで "S" 程度に該当するかと思います。
実寸値を見ても小さめのサイズ感となりますので、小柄な体型の方でしたら問題なくご着用頂けるかと思います。
経年による多少の使用感は見られるものの、目立った汚れ・傷等も見受けられないミントコンディションの1着となります。
勿論、着用に問題のある大きなダメージもありませんので、まだまだご着用可能かと思います。
数あるラグジュアリーブランドの中でも、独自の世界観と構築美で一線を画す "Paul Smith"
黒という色に奥行きを与えるベロアの艶感、身体に寄り添うやや細身のシルエット。
装飾を削ぎ落としたミニマルな構成だからこそ、素材そのものの美しさが際立ちます。
ヴィンテージ市場でもこの仕様は極めて希少。
感度の高い方にこそ届いてほしい、ポール・スミスらしい "捻り" の効いた逸品です。